鹿背隧道は悴ヶ峠を貫通する隧道で、長さ182m、幅約4.2m、高さ約3.9mの規模を有した県内では他に類をみない石造トンネルである。施工には地元萩・阿武地域でけでなく、周防大島町久賀や大分県安心院出身の石工が工事を請け負っている。工事は明治16年(1883)に着工、明治19年(1886)頃完成したと思われる。明治10年代の石張り道路隧道としては大変希少であり、総延長も我が国最大の長さを誇っている。
素朴ではあるが、重厚な味わいを持つ切石積みの坑口、総石張りの内部はまさに壮観で、山口県下最初の洋風石造隧道として貴重である。
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